24時間の情事

 

 

 

 

こんなふうに他人の目を盗んでするのはイケナイイタズラを

しているガキっぽくって、楽しい。そして気持ちがいい。

もう俺はゾロがどこがどんなふうにいいのかわかっているし

ゾロも俺がどこが1番気持ちいいかわかっているので

そこをちゃんとしてくれるし、俺もする。

気持ちがいいのはたぶんきっと、俺がゾロを好きでゾロも俺のことを好きだから。

愛し合ってるふたりにはなんでも気持ちがいいのかも知れない。

愛情に裏付けされた欲情。素晴らしき哉青春、ってやつだ。

さっきキッチンへやって来たこいつをここに誘い込んで無理やりに

ヤろう、と言ったら少し困った顔をしてでもすぐにのってきた。

俺はこいつの困った顔を見るのが好きでこいつはなんとなし

困ったことを言い出す俺を楽しんでいるふしがある。

テーブルクロスの下。

白く覆われたそこはふたりぶんの吐息にまみれて息苦しさを感じるほどだけど、

誰にも見つからないように、神様にだって見つかんないように、

こんなところに隠れてするのはなんだかとっても秘密っぽくて素敵だ。

厭らしい音が絶え間なく鳴って、耳まで犯されているみたいで、それもイイ。

だけど俺たちのセックスに挿入はない。

最初の日にジャンケンで俺が負けてゾロが俺に入れるってことになったけど、

やっぱりやだ、と言ったらしぶしぶ承諾してくれた。

おもしろくなさそうなその顔に、もしかして俺ってかなり愛されてるかもしれない、と思った。

ゾロの手がいいかんじに俺のを擦り上げ気持ち良くって声が出て

目を瞑ったらこいつが唾液まみれになってきったねえキスをしてくるので、

俺はもっともっとたまんなく気持ち良くなってしまい、頭のなかには幾何学模様が浮かび上がる。

イくときはいつもそうだ。この模様が浮かび上がる。他のやつもそうかな、と思って

ゾロに聞いてみたことがあったけど、はじめて聞いた、と笑われたのでこんなふうなのは俺だけらしい。

でもわかりやすくっていい。気持ち良さのバロメーターみたいで非常にわかりやすい。

もう少しでイっちゃうかも、と思って、なあ、挿れていい?挿れさせてよ。ゾロのなかに入りたい、俺、

と言ったらゾロの手の動きがふいに止まった。

「なんでやめんだよ。」

「おまえいまなんて言った。」

「挿れたい。挿れさせて。」

「却下。」

「即答すんな。手も動かせ。」

手は動かすけどな、と言ってゾロの手がまた俺のいいところを擦って思わずエロい声が出た。

「んっ・・あ」

幾何学模様がでっかくなっていって、その奥からまぶしい光みたいのがやってくる。

「挿れるのは却下だ。」

「な、ん・・で」

舌噛みそうになりながら言ったら涎でべちょべちょになった口のまわりを舐めて、

それから、俺だっておまえんなか入りてえよ、サンジ、と今度は耳の中を舐めて

厭らしいオスまるだしの声で言うので、思わずケツのアナがきゅうっとなってしまい、

あ、と空気みたいな声が出てそのままイってしまった。

これじゃあまるでゾロの声に反応したみたいで、ヤれよ、と言っているみたいで、だめだ。

「却下、だ。バカゾロ。」

言ってから遅漏のゾロの足の間に顔を寄せしゃぶりつくとオスっぽい喘ぎ声がして

またケツのアナがきゅううううっとなった。

ヤバイ、こういうのをいとおしいっていうのかもしれない、なんて思いながら

涎まみれの口を、舌を、動かした。

でかい手が髪の毛をくしゃりと撫でる。

ああ、気持ちいいんだろ?

わかってるって。だって愛し合っちゃったりしてるもんな。

そんな気持ちを込めてなおも口を動かし続けた。頭を撫でる手が心地いい。

なんかもうだめかも。

女の子、それこそナミさんが裸でベットに座って

サンジくん、きて、なんて言っても、きっとだめだ。

ゾロがいいって思ってしまう。

こいつは筋肉まみれで、ごついし、そのうえ汗臭い。

でも俺は筋肉のなめらかさも、ごつくてでかい手も、青っぽい汗の匂いも嫌いじゃない。

むしろ好きだったりする、それがすべてゾロのものだから、だ。

頭の上に置かれた手に力がこもって口の中にそれが吐き出される。

んーんーんー、と唸ったらティッシュか?と聞いてくるのでその顔をがっちり掴み込んで

口の中にこいつの吐き出したモノを突っ込んでやった。

んー、とおなじように唸ってゾロがテーブルクロスにそれをおもいきり吐き出した。

「なにすんだバカかおまえ、俺の飲ませるかふつう。」

「だってやだもん。」

「だもん・・」

「コックさんの味覚が鈍ったらどうすんだ。」

「アホコック。そこに愛はねえのかよ。」

「愛なら溢れてるだろうが。なにをとちくるっててめえに挿れてえって思うっつーんだよ。」

「はっ、残念だったな。そりゃ却下だ。」

「愛、ねえのか?」

「愛ならあるぜ。」

俺の耳元で、愛してるからてめえに挿れてえよ、サンジ、と

腰に直撃の声でにやり、とゾロが笑ったので俺はふたたびケツのアナがきゅうんとなって、

却下だ、と言いながらも愛ならいいかな、なんて少し思った。

これじゃあきっと思うツボだ。

それでも、俺はゾロを愛してるし、ゾロも俺を、愛しちゃったりなんかしてる。

そんなふうに愛し合っちゃってるのでそのうち先っぽくらいは入れさせてやってもいいかもしれない。

まだ陽の高い昼間テーブルの下で、イタズラっこみたいにふたりで隠れながら、そんなことを思った。

愛ゆえに、ってやつだ。

そう考えながらきっとまだ眩しい光の降り注いでいるだろう甲板の青空を思い浮かべ、

なんてアホくさいほどに青春なんだ、とゾロの下半身剥き出しのままの間抜けな姿に

おもわず笑い出したくなった。

白いクロスに覆われたそこで白いモノを吐き出して、俺たちは青春を謳歌する。

それから、恋も。

 

FIN.